レストラン、カフェ、バー、ホテル、博物館、そして個性的なおみやげショップ。大自然の中で、食べて遊んで泊まることができる「萌木の村」は、地域の若者の居場所を作り、清里の発展を支えた偉大な施設だ。
清里のスーパーマン、観光のカリスマと呼ばれる人物が、萌木の村にいた。社長の舩木上次さんだ。清里の父と言われるポール・ラッシュ博士の遺志を受け継ぎ、清里、ひいては山梨県の発展のために全精力を注いでいるという彼を訪ねて、萌木の村へ足を踏み入れた。
「始まりは、小屋みたいな小さな喫茶店だった。音楽をガンガン流して、行き場のない若者たちのエネルギー発散の場所にしたかったんだよね」。スーパーマンのTシャツを着た舩木さんは、施設の改修工事の手を止めて昔話を聞かせてくれた。「大きな岩の上に小屋を作ったから、店名は〈ROCK〉。清里では初めての喫茶店だったんだよ。俺が23歳の時だったかな」

清里で生まれ、清里で育った舩木さん。戦後に清里高原で開拓支援を行なったアメリカ人、ポール・ラッシュ博士の思いを受け継ぎ、「誇りある地元作り」をするために活動を続けている。23歳の時に喫茶店〈ROCK〉を作り、28歳で、元々の夢だったというホテル〈ハット・ウォールデン〉を開業。その後はオルゴール館や清里フィールドバレエなど、新しい試みに次々挑戦し、萌木の村に文化を根付かせていった。
「風土、風味、風景、全ては風。風格なんだよね。俺はこの土地の風の質を上げていきたいと思って、この萌木の村をやり続けているんだと思う」。今年69歳になる舩木さんは、優しい表情でさっきまで自らの手で工事を行なっていた施設を見渡した。花壇の手入れや、壁の補修など、自分でできることはやるというのが信条だという。全ては100年後のこの地域のため。

「今が良ければいいということはない。100年後に残すべきものはなんなのか、そう考えたら、目先の利益よりも、この地域の水や自然、景観を残したいって思わない?」
萌木の村は、北杜市で作られたおいしいお酒が飲めることも自慢のひとつだ。ウイスキー、ワイン、ビール、日本酒、焼酎。ここまで多様なお酒を作ることができる生産地は世界でも有数だという。舩木さんいわく、全ては水が良かったから。「山梨県は、フィリピン海プレート、太平洋プレート、北アメリカプレート、ユーラシアプレートが重なる珍しい土地。だから八ヶ岳の石と白州の石と南アルプスの石は全然違う。そこをろ過して作り出された水は、もちろん全て水質が違う。だからこの土地は水質が多いというのが大きな特徴なんだよ」。

まずは地元の人が、この土地の魅力を正しく理解し、誇りに思うことが大切だと舩木さんは語る。「都会では手に入らないものが、ここでは手に入るからね。それを俺は大切にしたいんだよ」。
舩木さんは、「北杜市の皆さんへ」と題したニュースレターの配信も手がけている。北杜市の水がなぜ貴重と言われているのか、ここの水で作るお酒が世界でどのように評価されているのか。ここにしかない魅力を発信し続ける発信基地になりたいと力強く語ってくれた。

「こんなに素敵な場所なのに、ここの人たちは見慣れちゃってる。改めて、世界が認めていることを知って誇りに思ってほしいから、これからもこの地域のためだけを考えて残された時間を生きていきたいと思ってるんだ」「萌木の村」の話は、いつしか清里の話、そして山梨県の話になっていた。舩木さんが地域を思う気持ちは、年を重ねるごとに大きくなっていくようだった。

八ヶ岳南麓清里の憩いの郷 萌木の村「水の山」パートナー

住所:
山梨県北杜市高根町清里3545
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TEL:
0551-48-3522
定休日:
年中無休
営業時間:
10:00〜18:00(5月〜11月) 10:00〜17:00(12月〜4月)
URL:
https://www.moeginomura.co.jp/